目次EAGLEインデックス(1)


ライブラリ作成のテクニック (3)
ライブラリ部品名の変更
ライブラリ内の部品名を変更するにはコマンドを使います。LibraryメニューにRenameがありますが、私の場合正常に動作していません。バグ?
コンデンサライブラリで説明をします。標準のライブラリではCAP-2,5という部品があります。このコンデンサはコンデンサのピン間隔が2.5mm(0.1 inches)のものです。ICのピン間隔が0.1インチなので、私はインチの名称に変更することにしました。
CAP-2,5をCAP-0.1に変更します。2,5にはカンマ( , )が使われています。

コマンドウインドウに「rename現名称新名称[リターン]」と入力します。

ライブラリ編集ウインドウのタイトルに表示されている部品名称が変わります。

パッケージ名称、シンボル名称も同様にコマンドベースで変更できます。パッケージおよびシンボルの名称を変更するとデバイスデータにも自動的に反映されます。



ライブラリ部品のコピー
ここでは他のライブラリにある部品を自分のライブラリにコピーする方法を説明します。

新規ライブラリの作成
既にあるライブラリをコピーして新規ライブラリを作る方法は説明しましたが、ここではまったく新規にライブラリを作る方法を説明します。
EAGLEのコントロール・パネルでFile -> New -> Library と操作します。この操作によりライブラリの編集ウインドウが表示されます。このウインドウのタイトルを見るとEAGLEのデフォルトライブラリが収容されているパスになっています。

でも、保存する際に自分用のライブラリフォルダに保存することができます。今回はFile -> Save as...でMp_eagle/library配下に「05_transistor」という名称のライブラリを作成しました。



パッケージデータのコピー
新規のライブラリに2SC1815というNPNタイプのトランジスタを追加します。このトランジスタはTO-92という構造のトランジスタです。最初にTO-92のトランジスタのパッケージデータを探します。

OpenアイコンまたはFile -> Open でファイル選択ダイアログを表示します。
EAGLEのデフォルトライブラリから"transistor-small-signal.lbr"を選択します。私の場合にはC:\Program Files\EAGLE-4.09r2\lbr\transistor-small-signal.lbr になっています。


Packageアイコンをクリックし、表示されるリストから TO92A を選択します。



Groupアイコンをクリックし、マウスの左ボタンを押しながら全ての部品を囲むようにドラッグします。


この操作により選択された部分がハイライト(明るい色)になります。


次にCutアイコンをクリックし、パッケージ図上の任意の位置にマウスポイントを移動してマウスの左ボタンをクリックします。この操作により選択したパッケージデータがEAGLEのクリップボードにコピーされます。ウインドウでクリックすることを忘れないでください。この操作を行った時点では特に変化は無いので、正常にコピーされたかどうかは確認できません。Cutのボタンを使用しますが、この操作でオリジナルのパッケージデータが消えることはありません。EAGLEのクリップボード上のデータはEAGLEをクローズすると消えるので、コピー先にデータを張り付けるまでEAGLE自体をクローズしてはいけません。
Copyアイコンがありますが、このアイコンでの機能は同一のパッケージ図上でオブジェクトをコピーするためのもので、部品全体をコピーすることはできません。

パッケージデータの張り付け

次にコピー先のライブラリを開きます。先ほど新規に作成したライブラリにコピーします。

コピー先のライブラリ編集ウインドウでPackageを選択すると、Packageの編集ダイアログが表示されます。
Newの項目にパッケージ名称を入力し、OKボタンを押します。今回はTO92BCEという名称にしました。BCEはパッドの配置を区別するために付けました。

OKボタンを押すと新規データ作成の確認メッセージが表示されます。

名称を確認後、Yesボタンを押します。






Pasteアイコンをクリックすると画面上にコピーしたパッケージデータが表示されます。このデータはマウスポイントと一緒に移動するので、データの中心が中央の+マークの位置になるように移動します。左ボタンをクリックするとデータが固定されます。


表示サイズは(Fit、In、Out) などで調整できます。
位置を固定すると移動できないので、固定する前にInアイコンで画面を拡大することをお勧めします。



パッケージデータがコピーされました。


パッド名称の確認および設定
パッケージデータのパッド名称を確認します。このパッド名称はシンボルとパターンのリンクに使われるので、確実に設定する必要があります。パッケージデータは部品を上面から見た図なので、間違えないようにします。ただ、シンボルのピン名称と同じでなくてもかまいません。デバイスデータでシンボルのピンとパッケージのパッドを間違えないような名称であれば問題ありません。
2SC1815を上から見た場合、左側のパッドがエミッタ、上側がコレクタ、右側がベースです。
Nameアイコンをクリックしてパッド(緑)をクリックするとパッドの名称ボックスが表示されます。

今回使用したTO92Aのデータのパッド配置は2SC1815とは異なっているので、各パッドの名称を変更します。ただし、同じ名称は使えないので、一度他の名称に変更してから再度設定し直す必要があります。
たとえば、左側のパッドをEAに変え、上側をCに変え、右側をBに変え、左側を再びEに変えます。


パッケージデータ説明の登録

パッケージデータ用ウインドウの下の説明表示用ウインドウのDescriptionをクリックします。

必要な説明を登録し、OKボタンを押します。


データの保存

パッケージデータを保存します。
SaveアイコンをクリックするかFile -> Save を選択するとデータが保存されます。




シンボルデータのコピー
シンボルデータのコピーも基本的にはパッケージデータの操作と同様です。

コピー元のライブラリを開きます。
EAGLEのデフォルトライブラリから"transistor-small-signal.lbr"を選択します。


Symbolアイコンをクリックし、表示されるリストから NPN を選択します。



Groupアイコンをクリックし、マウスの左ボタンを押しながら全ての部品を囲むようにドラッグします。





この操作により選択された部分がハイライト(明るい色)になります。



次にCutアイコンをクリックし、パッケージ図上にマウスポイントを移動してマウスの左ボタンをクリックします。
この操作により選択したパッケージデータがEAGLEのクリップボードにコピーされます。



シンボルデータの張り付け

次にコピー先のライブラリを開きます。



コピー先のライブラリ編集ウインドウでSymbolを選択すると、Symbolの編集ダイアログが表示されます。
Newの項目にシンボル名称を入力し、OKボタンを押します。今回はNPNという名称にしました。

OKボタンを押すと新規データ作成の確認メッセージが表示されます。

名称を確認後、Yesボタンを押します。






Pasteアイコンをクリックすると画面上にコピーしたシンボルデータが表示されます。このデータはマウスポイントと一緒に移動するので、データの中心が中央の+マークの位置になるように移動します。左ボタンをクリックするとデータが固定されます。


シンボルデータがコピーされました。

でも、何か違いますね。ピンのデータが表示されていません。
部品によってはピンのデータが表示されないことがあるようです。


Pinアイコンをクリックすると、接続ピンが表示されます。なぜ、このような仕様になっているのか分かりません。バグ?





ピン名称の確認

シンボルデータのピン名称を確認します。
Nameアイコンをクリックしてピン(緑)をクリックするとピンの名称ボックスが表示されます。


シンボルの記号がベース、エミッタ、コレクタを表しているので、それぞれB、E、Cの名称であることを確認します。
変更は必要ないはずです。


データの保存

シンボルデータを保存します。
SaveアイコンをクリックするかFile -> Save を選択するとデータが保存されます。




デバイスデータの作成
デバイスデータはパッケージデータとシンボルデータを組み合わせて作るデータです。これは既存のデータをコピーして作ることはできません。
今回は2SC1815としてのデバイスデータを作成します。

05_transistorのライブラリでDeviceアイコンをクリックすると、Diviceの編集ダイアログが表示されます。
Newの項目にデバイス名称を入力し、OKボタンを押します。今回は2SC1815という名称にしました。



OKボタンを押すと新規データ作成の確認メッセージが表示されます。

名称を確認後、Yesボタンを押します。


左上のウインドウはシンボルデータを表示するエリア、右上のウインドウはパッケージデータを表示するエリアです。
また、左下はデバイスの説明を記述するエリア、右下はシンボルとパッケージを連結させるエリアです。


シンボルデータの登録

最初にシンボルの登録をします。
Addボタンをクリックするとシンボルの選択ダイアログが表示されます。今回はNPNだけしか登録されていないので、NPNを選択してOKボタンを押します。シンボルデータ表示エリアにマウスポインタを移動するとポインタに伴ってシンボルが現れます。中心の+に合うようにシンボルを移動し、マウスの左クリックで固定します。シンボルが小さくて中心がよく分からない場合には、Inアイコンを使って表示を拡大できます。





Add機能を止めるにはCancelボタン をクリックします。




パッケージデータの登録










OKボタンを押すとパッケージデータ表示エリアにパッケージデータが表示されます。

マークはシンボルとパッケージデータがリンクしていないことを示しています。
パッケージデータを追加するのには右下のウインドウにあるNewのボタンを押します。



シンボルデータとパッケージデータのリンク
シンボルデータのピンとパッケージデータのパッドとのリンクを行います。

データのリンクにはConnectボタンを使用します。


Connectボタンを押すと以下のようなウインドウが表示されます。

Pin はシンボル上の接続点、Padはパッケージ上の接続点です。今回はPinとPadのリストの順番が合っているので、そのままConnectボタンを3回押します。
接続を変える場合にはConnectボタンを押す前に接続を選択します。たとえば、PinのG$1.EとPadのBを選択してConnectするとシンボル上のエミッタがパッケージではベースの位置に接続されます。



OKボタンを押すと マークが以下のようになり、正常にリンクできたことが表示されます。


プリフィックスの設定
プリフィックスとは部品名称の頭に付ける文字です。一般に抵抗であれば R 、コンデンサの場合は C が使われます。同じ部品を複数使用した場合、R1、R2などのようにプリフィックスの後に番号が付けられます。今回はトランジスタなのでTRとします。

プリフィックスを付けるのにはPrefixボタンを使用します。



OKを押すと設定されます。


品名の表示設定
2SC1815のような部品の品名はValueとして使われます。部品名を回路図に表示する場合、ValueをOFFにします。
一見、逆のような感じがします。ValueをONにすると回路図にはValueは表示されず、回路図作成のときにValueボタンで値を設定できるようになります。OFFにすると基本的には回路図ではValueは変えられません。抵抗器やコンデンサの場合はValueをONにします。

ValueをOFFにすると回路図に部品名が表示されます。
部品名はデバイスの名前です。


ValueをOFFにした部品のValue(部品名)を変えようとすると以下のような警告メッセージが表示されます。



デバイス説明の登録

デバイスの説明をDescriptionで登録することができます。
左下ウインドウのDescriptionをクリックします。

今回は以下のような説明を登録しました。


表示は以下のようになります。


この説明のHeadlineは回路図で部品を追加する際のDescription欄に表示されます。