目次電子回路工作入門工作道具の基礎知識




ハンダ付けは電子回路工作の基本です。以下にハンダ付けで使用する工具類を紹介します。
ハンダ付けは高温を扱いますので、作業中は十分な注意が必要です。不注意により、火傷をしたり、火災になってしまうこともありますので、取り扱いにはくれぐれも注意して下さい。



 ハンダごて(半田鏝)
    ハンダ付けを行う上で必要な道具です。
    ハンダは常温では固まっていますが熱に溶けやすく、ハンダ鏝を使って溶かして部品や線材をプリント板に固定します。(ハンダ付けをすると言います)
    このとき重要なのが温度です。ハンダ付けをする対象(プリント板、部品、線材など)がハンダが溶ける温度にならないとハンダが付きません。でも、ハンダが溶ける温度以上であれば何度でも良いかと言うと、そうではありません。電子部品には温度に弱いものが多く、短時間で付けないと部品を壊してしまうことがあります。
    一見ハンダが付いているように見えても(でもゴロっとした感じ)、ちゃんと付いていないことがあります。これを「イモハン」と言います。鏝やハンダ付けをするものの温度が低いとこのようになってしまいます。
    見た目では分からないものもあるので、作った後のチェック(テスタなどで)は必須です。自信過剰はいけません。怪我のもとです。

    いろいろな種類の鏝が売られていますので、選ぶのに迷います。

    電力(発熱量がこれで決まります)
      私は3種類を使っています。
      ・25W
        プリント板などに部品を取り付けるとき使っています。
      ・80W
        銅板など熱が逃げやすく、なかなか温度が上がらないものにハンダ付けをするときに使います。
      ・15W
        細かい部品で熱に弱い部品を付けるときに使います。
      通常は25Wのものだけでも大丈夫です。
    鏝先
      ハンダ付けは鏝の先で行いますので、鏝先は重要です。銅の棒を先を尖らせて鏝先としているものもありますが、熱を加えるとすぐに黒く錆が出て熱がハンダ付けの部分に伝わりにくくなり、ハンダが付きにくくなってしまいますので、あまりお勧めは出来ません。また、長年使っていると鏝先の銅がハンダと一緒に溶けてしまい、鏝先がくぼんでしまい、ハンダ付けがやりにくくなります。
      鏝先が特殊な金属で出来ているものもあり、錆にくく、先も減りにくいものがありますので、出来たらそのようなものを選んだ方が良いと思います。多少高価ですが、すぐにダメになるよりは良いと思います。
      ハンダ付けをする場合には鏝先はいつもきれいな状態にしておく必要があります。汚れていると熱が伝わりにくくなってしまいます。
      鏝先の形は尖ったものが一般的ですが、特殊な形をした鏝もあります。ICの足(14ピンとか16ピンとか)を一度に溶かすような鏝先もあります。(私は持っていません)
    通常のハンダ鏝は電気を使ってヒータの熱により鏝先を熱しますが、ガスバーナーのように火で鏝先を熱するタイプのものもあります。携帯にはこのようなものも便利です。
    熱で収縮するチューブ(ヒシチューブ)を熱する場合も便利です。(ガスライターでも良いのですが)


 ハンダ鏝台

    ハンダ鏝は高温となりますので、その辺に置くわけにはいきません。安定した鏝台が必要です。
    鏝台は一見軽んじられますが、電子工作を行っていると、ついつい部品とか、プリント板などに気が集中して、ハンダ鏝の存在を忘れてしまうことがあります。気が付いたら机が焦げていたなんて、洒落になりません。
    重量がある程度あり、ちゃんと鏝を保持するものを選ばなければいけません。
    ハンダ鏝の種類によって、ヒータ部分の形状が違っていますので、使う鏝に合った台を使いましょう。

    ハンダ付けを行う場合、鏝先の清掃は重要です。でも、高温ですから、手で拭くわけにはいきません。一般的には濡らしたスポンジなどで、鏝先を拭きます。そのため、鏝台にそのような濡れたスポンジなどが置ける構造をしてある方が便利です。この辺は好みです。



 ハンダ

    ハンダは鉛と錫の合金です。錫の含有率がある程度高いほど仕上がりの光沢があり、良いハンダと言われています。値段も高くなるようですが。
    ハンダにもいくつかの種類があり、電子回路工作では糸ハンダと言われるものが使われます。この糸ハンダはパイプ状で中にヤニと呼ばれるものが入っていて、ハンダが溶けると一緒に溶け、ハンダが部品に付きやすくなります。
    糸ハンダの太さもいろいろありますが、私は径が0.8mmφのものを多用しています。錫の含有率は仕上がりの光沢がきれいな60%のものを使っています。他に0.5mmφのものも小さな部品のハンダ付けには便利です。太いとハンダが付き過ぎてしまいます。



 ハンダ取り
    ハンダが付き過ぎてしまったり、取り付けた部品を間違えてしまったなど、ハンダ付けの失敗は多いものです。また、部品を取り外したい場合もあります。
    このような場合、ハンダを取るわけですが、簡単にはいきません。何しろはずれないように付けているし、ハンダがベタと付いているわけですから。
    そのような場合に使用する道具をいくつか紹介します。
ハンダ吸取器

    ピストンの原理で内蔵されたバネの反発力で溶けた半田を吸い取る道具です。
    使い方は、まず、吸取器の上部のノブをバネに逆らってロックするまで押し下げます。
    ハンダを吸い取りたい部分にハンダ鏝を当て、ハンダを溶かします。溶けたところを見計らって、吸取器の吸取口を溶けたハンダ部に近づけ、吸取器のロック解除ボタンを押します。すると、バネの力で吸取器のピストンが押し上げられハンダが吸取器内部に吸い取られます。
    手早く行わないと熱で部品が壊れてしまいます。少し練習が必要です。
ハンダ吸取線

    細い銅線を網状にしたものです。布に水が吸い込むように、毛細管現象によってハンダを銅の網線に吸い取るわけです。
    使い方は、ハンダを吸い取りたい部分にハンダ吸取線を当て、その上からハンダ鏝を当てハンダを溶かします。溶けたハンダは毛細管現象でハンダ吸取線に吸い取られます。このとき、吸取線を順繰りにずらしながら吸い取ります。
    少ないハンダであれば一回で取れますが、ハンダの量が多い場合には吸取線をずらさないと取り切れません。ビシャビシャの雑巾に水を吸い取らせても吸い取らないと同じです。
    ハンダを吸い取った吸取線の部分は、もう使えませんので切り取って捨てます。
    吸取線の幅は何種類かあります。私は2mmのものを使っています。
    余分に付きすぎたハンダをきれいにするのに便利です。
ハンダ吸取器付きハンダ鏝
    高級なハンダ鏝で吸取器がついているものがあります。スイッチ操作により電動ポンプを動かし、空気を吸い込むと同時にハンダも吸い取ります。(私は持っていません)