目次PIC回路集大型表示電波時計


大型表示電波時計 動作確認

充電電流の調整

バッテリーの充電はAC電源が正常な場合、常時行われています。ですから、過充電を防止する対策が必要です。今回行っている方法はトリクル充電という方式で、少ない電流で長時間かけて充電する方法です。充電電流を少なくすることで過充電を防いでいます。バッテリーの種類により多少違うかもしれませんが、トリクル充電の充電電流値は以下の式で計算されます。




上記の式で C は電池の容量です。今回使用している電池は2500mAHですので、0.033 × 2500 = 82.5mAとなります。82.5mA以下の充電電流で充電すれば、常時充電していても電池を痛めないということです。充電電流はR231の抵抗器で調整します。

今回作成した回路では47Ωの抵抗器で約65mAの充電電流にしています。



LED輝度調整
LEDの輝度はLEDの種類により変わります。事前に調べると時、分で使用している大型LEDの輝度が一番低いことが分かりました。そこで、このLEDの輝度を基準に他のLEDの輝度を調整します。
大型LEDの最大電流規格は25mAとなっています。今回の回路では常時点灯するのではなく、パルス駆動をしています。LEDにより違いますが、パルス駆動の場合、常時点灯に比べて多くの電流を流すことができます。パルス幅、周期により2倍から3倍の電流で駆動することもできます。データが分からない場合にはそこまで流さない方が無難です。
駆動電流はパルスなので、通常のテスターで計れません。そこで、オシロを使い、駆動電流の値を計測しながら抵抗値を決めます。今回の回路では100Ωと47Ωを並列に接続した32Ωの抵抗器で約30mAの駆動電流にしています。



7セグメントLEDは全てのセグメントを点灯してみないと明るさのバランスが分かりづらいです。それも、今回の回路ではパルス駆動をしているので、明るさの具合を見るためには実際の回路を動作させて試す必要がありました。そのため、フックチップを使用して抵抗器を仮付けし、全体の明るさを見ながら調整します。
年・月・日用のLED、曜日用のLED、秒用のLEDと3回作業します。この作業が一番手間がかかります。



輝度調整をするための試験用のプログラムを作成しました。全てのLEDのセグメントを点灯させるプログラムです。
このプログラムでLEDを点灯させるためには表示制御ユニットで使用する表示スキャン用プログラム、曜日表示用プログラム、および表示ラッチ用のCPLDを作っておく必要があります。

プログラムは「LED輝度調整用プログラム」です。



LED配線確認

配線は色分けしているので間違ってはいないはずですが、配線の確認のために表示を1秒ずつ変化させるプログラムを作りました。年の上位2桁は固定ですので変わりません。秒表示の右下のドットは受信状態の表示用LEDです。実際の時計では正常に受信できている場合に点灯します。試験プログラムでは1秒毎に点滅させています。
左の写真は実際の表示を撮影し、アニメ化したものです。プログラムの動作と違うところは曜日の表示です。プログラムでは日曜日から土曜日まで変化し、1秒の消灯ののち、再び日曜日から表示します。ただ、その場合、数字の変化と曜日の変化がずれます。そのため、左のアニメでは曜日の連続性は途中で切れています。

プログラムは「LED配線チェック用プログラム」です。



時報動作確認
今回の時計では6:00、7:00、8:00、9:00、18:00、19:00、20:00、21:00に時報を鳴らす機能と1月1日の0:00にチャイムを鳴らす機能を設けています。時計の時刻設定は電波により自動的に行われるため、それらの機能を試験するプログラムを作りました。
12月31日の23:59からスタートして日付が変わるときのチャイム動作確認。1月1日の0:01からのメロディスキップ機能の確認。それと時報の動作を確認することができます。時報は時間のチェック部を分に置き換えています。ですから、06分、07分、08分、09分、16分、17分、18分、19分で8曲のメロディーを確認できます。

プログラムは「時報動作チェック用プログラム」です。



電流測定

各装置への電流を計測しました。測定にはデジタルメータを使用し、最大の表示値を示しています。ただし、LEDの制御等はパルス駆動しているので、実際の最大値はこれらの値より多少多くなります。
バッテリー駆動に切り替えたときにCPUへの電流が18mAから120mAへと変化しました。この件についてはトラブルシューティングの「バッテリー駆動のとき、曜日のLEDが薄く点灯する」をご覧ください。



バッテリー駆動時間

今回使用しているバッテリーは2500mAHの容量があります。CPUユニットと受信機ユニットで約23mAの電流が流れます。計算では2500/23=108.7時間、動作し続けることになります。ただし、バッテリーの残量が少なくなると電圧が下がるので、全てを使い切るまでは動作できません。バッテリーの特性として残量が少なくなると急激に電圧が降下し、それまではある程度の電圧を維持します。
実際にバッテリーをフル充電にして動作させてみました。丸4日間、約100時間連続動作しました。これはLCDが消えるまでの動作時間で、時計としてはもう少し長く動作していました。ほぼ計算通りです。