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  電圧可変型3端子レギュレータでの電圧制御 
 今回使用する3端子レギュレータは抵抗器の値を変えることにより出力電圧を変化させることができます。
 LM317はプラス電源用、LM337はマイナス電源用です。動作はどちらも同じように動作します。
 
 
  電圧制御範囲 
 
  左の図はレギュレータの基本回路です。VoとAdj間の電圧は一定で標準で1.25Vです。 出力電圧の制御はR2の値を変えて行います。
 出力電圧(Vout)は以下の式で計算できます。
 
 
 Vout = 1.25 ( 1 + R2/R1) + IADJ(R2)IADJはAdjピンから流れる電流で数十μAですので、右端の項は無視しても良いです。
 
 LM3xxでは電圧制御用の抵抗値を決めるのに制約があります。それは出力電流が10mA以上でないと電圧の制御が正常に動作しないという制約です。常に10mA以上電流が流れる負荷がある回路で使用する場合にはこの制約は関係ありませんが、実験用電源などのように無負荷の状態がある場合には考慮する必要があります。どのような考慮かと言うとR1の値を120Ω位にするということです。こうすると出力電流は最低でも10mAは流れることになります。
 R2の値は必要とする出力電圧により以下の式で計算できます。(IADJは無視)
 
 
 R2 = 120 ( Vout/1.25 - 1 )5Vの出力電圧の場合には以下のようになります。
 
 
 
今回の回路では500Ωの可変抵抗器を使いました。ですから、出力電圧の制御範囲は計算では1.25V〜6.46Vになります。
| R2 | = 120 x ( 5/1.25 - 1 ) |  
| 
 | = 120 x 3 |  
| 
 | = 360Ω |  
 
 
  入力電圧の条件 
 LM3xxの場合、入力電圧と出力電圧の差が最低でも3V必要です。すなわち、入力電圧は出力電圧より3V以上高くなければなりません。5Vの出力電圧の場合、入力電圧は8V以上にする必要があります。
 LM317の場合、入力と出力の電圧の差は最大40Vです。出力の最低電圧は1.25Vですので入力電圧の上限は正確には41.25Vになります。通常は最大入力電圧は40Vとしています。
 ですから、LM317での電圧制御範囲は1.25V〜37Vになります。
 LM337でも電圧の極性は逆ですが制御範囲は同様です。
 
 
 
 
  
  レギュレータの保護 
 
  レギュレータの外部にいくつかのダイオードを付けてレギュレータが外部条件で破壊しないように保護しています。これらのダイオードは必ずしも付けなくても良いのですが、万が一のために付けています。 
 D1は入力に極性が逆の電圧が加わった場合の保護です。
 AC電源から直流を作る整流回路を内蔵した場合には逆の電圧が加わることはありませんので、その場合には不要です。今回私の回路では外部の±12V電源装置とその都度ワイヤーで接続する方法ですのでこのダイオードを付けています。ダイオードは1Aのものを使用しましたので、それ以上の電流が流せる外部電源の場合のはダイオードが壊れてしまいます。
 シリコンダイオードは壊れると短絡状態になりますので、外部電源に保護回路がないと電源装置が壊れるかもしれません。
 
 D2は入力電圧より出力電圧が高くなった場合の保護です。
 通常はこのようなことはないのですが、負荷回路にコイルなどがあった場合、電流を遮断したときに高電圧が出る可能性があります。
 
 D3は電圧調整ピンの電圧より出力電圧が下がった場合の保護です。
 出力が短絡した場合にはこのようなケースになります。
 
 
 
 
  
  レギュレータの仕様 
 
 詳細はデータシートを見て頂ければ良いのですが、英文ですので規格の一部を以下に示します。 
| LM317T 
 
| 項 目 | 条件 | LM317T | 単位 |  
| 最小 | 標準 | 最大 |  
| 基準電圧 | 3V ≦ (Vin-Vout) ≦ 40V | 1.20 | 1.25 | 1.30 | V |  
| 入力安定性 | 3V ≦ (Vin-Vout) ≦ 40V | 
 | 0.01 | 0.04 | %/V |  
| 
 | 0.02 | 0.07 | %/V |  
| 負荷安定性 | 10mA ≦ IOUT ≦ IMAX | 
 | 0.1 | 0.5 | % |  
| 
 | 0.3 | 1.5 | % |  
| ADJピン電流 | 
 | 
 | 50 | 100 | μA |  
| 最小出力電流 | (Vin-Vout) = 40V | 
 | 3.5 | 10 | mA |  
| 最大出力電流 | (Vin-Vout) ≦ 15V | 1.5 | 2.2 | 3.4 | A |  
| (Vin-Vout) = 40V | 0.15 | 0.4 | 
 | A |  
| リップル除去 | Vout=10V, f=120Hz CADJ=0μF
 | 
 | 65 | 
 | dB |  
| Vout=10V, f=120Hz CADJ=10μF
 | 66 | 80 | 
 | dB |  
| 電圧最大定格 
 (Vin-Vout) | 
 | 
 | 40 | 
 | V |  
| 動作温度範囲 | 
 | 
 | 0〜125 | 
 | ℃ |  ・細字の数字はTJ=25℃、太字の数字は最大動作温度での数値
 ・条件が書かれていない場合 Vin-Vout=5V Iout=10mA
 
 
 LM337T
 
 
| 項 目 | 条件 | LM337T | 単位 |  
| 最小 | 標準 | 最大 |  
| 基準電圧 | 3V ≦ |Vin-Vout| ≦ 40V | -1.20 | -1.25 | -1.30 | V |  
| 入力安定性 | 3V ≦ |Vin-Vout| ≦ 40V | 
 | 0.01 | 0.04 | %/V |  
| 
 | 0.02 | 0.07 | %/V |  
| 負荷安定性 | 10mA ≦ IOUT ≦ IMAX | 
 | 0.3 | 1.0 | % |  
| 
 | 0.3 | 1.5 | % |  
| ADJピン電流 | 
 | 
 | 65 | 100 | μA |  
| 最小出力電流 | |Vin-Vout| ≦ 40V | 
 | 2.5 | 10 | mA |  
| |Vin-Vout| ≦ 10V | 
 | 1.5 | 6 | mA |  
| 最大出力電流 | |Vin-Vout| ≦ 15V | 1.5 | 2.2 | 3.7 | A |  
| |Vin-Vout| = 40V | 0.15 | 0.4 | 
 | A |  
| リップル除去 | Vout=-10V, f=120Hz CADJ=0μF
 | 
 | 60 | 
 | dB |  
| Vout=-10V, f=120Hz CADJ=10μF
 | 66 | 77 | 
 | dB |  
| 電圧最大定格 
 |Vin-Vout| | 
 | 
 | 40 | 
 | V |  
| 動作温度範囲 | 
 | 
 | 0〜125 | 
 | ℃ |  ・細字の数字はTJ=25℃、太字の数字は最大動作温度での数値
 ・条件が書かれていない場合 Vin-Vout=5V Iout=0.1A
 
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